晴明殿下の人生激情

みんな大河ドラマの主役だった。

男と女の1994

あれは花冷えのする3月の終わりだったか。
若かった私は、肩からバッグを提げて立ちんぼをしていた。
ラブホテルの橫で。

1994年頃には、今のような便利さはなく、愛を求める手段としては、ダイヤルQ2とかテレクラがお盛んであったんだが、さらに新たなピンクサービスが登場した。
それが『ブルセラ』である。

主に女子高生の下着とか制服を売買するのだが、要するに女性なら誰でもいいような感覚で、金が欲しい主婦なんかも、取り引き相手である。

では、私がランジェリーを求めているかというと、そうではなく、アルバイトだった。

当時、知人がレンタルビデオ屋の店長を していた。
この店というのが、今では全く見かけなくなった、ほとんどアダルトオンリーのチープな店舗なのだ。
ビデオだけでなく、怪しいグッズとかも売っていて、さらにビジネス拡張でブルセラも扱うようになっていた。
もっと言えば、かなりマニア向けの商品に『聖水』なんかもあった。
これはオロナミンのビンに入れて、小さな冷蔵庫で保管していた。
なんでも人によっては、一気飲みとか凍らせてウイスキーに入れるとか・・・。

そして、あまり大きな声では言えないけれど、後にこの店には捜索が入り、店長の手が後ろに回ってしまった。
こういった店は、よくツートンカラーの車が来るのだ。

話を戻すと、立ちんぼをしていた私が、店長から預かったバッグの中には、現金とカメラが入っている。
要するに、ホテル内でヌードを撮影し、下着を買って来いという事である。
着用者の写真があると高く売れるのだ。

そして本日のクライアントがやって来た。

つづく