晴明殿下の人生激情

みんな大河ドラマの主役だった。

続・男と女の1994

昔は出会い系をやっていると、来る女性が大体2種類だと言う。

太ってるか痩せてるか。

実はこのパターンが崩れるのが、携帯が一気に普及し、誰もかれもがメールをやり出す2000年辺りなのであった。
しかし、それも時の流れと共にフェードアウトしてしまう。
そもそも、人口20万位の街では、出会う男も女も結局、前会った人というバツの悪い事になるのだ。

私の前に現れた女性は、これまたガリガリの主婦であった。
おとなしそうな顔をしていて、虫も殺さないような雰囲気を持っている。
だがしかし、後に私も何度も経験するのだが、こういった静かな女の方が、やる事がえげつなかったりする。

軽く挨拶してホテルの部屋に歩む。

私の仕事は、彼女の下着姿を撮影し、脱いだ下着を持ち帰る事なのであるが、一つ苦悩というのか、煩悩があった。

欲望を抑えられなかったらどうしよう?

強引に行ってしまえば、人を呼ばれるか、別料金を請求されるかも知れぬ。

部屋に入り、説明すると、するすると脱ぎ出し、あっという間にランジェリー姿になった。
彼女は、恥じらいとか背徳観がないというか、何とも思っていないようであった。

私もカメラを構えたのだが、これが不思議な事に、レンズを通して被写体を見ると、まるで猛禽類が獲物を狙う気持ちになったのだ。
あの高名な写真家の篠山紀信も、きっとこんな感じであろう。

本当ならば、3枚位撮ればいいのに、下着も脱いでもらって、

ハイ、ちょっと手で胸と股間を隠してみましょうかあ!?

調子に乗ってシャッターを切り続けた。

頭はクールで、足の角度などを完全に計算していた。

やがて終了。
私は女性に謝礼を渡し、下着を袋に入れると、妙な達成感を得て別れた。

もちろんやらなかったのは言うまでもないだろう。