晴明殿下の人生激情

みんな大河ドラマの主役だった。

眠れない夜と雨の日には・・・

世の中、5人に1人が不眠症らしい。

私はそうではないけれど、どうにも眠れない夜の事だった。

外は雨が降っていて、趣味である気晴らしの自転車にも乗れない。
人間、ヒマだとロクな事がないというのは本当で、布団の中でもぞもぞと寝返りを打っていても、いいアイデアは生まれてこないものだ。

この時、私に魔が刺した。

決してやってはいけない『昔の恋人検索』を行ってしまうのである。

過去を振り返るのは、良い思い出なら良いなりに、悪い思い出なら悪いなりに、現実が嫌になってしまう。
要するに、あの頃は楽しかったなあ~と、あんな事があったから今が・・・まあ、いずれにせよため息をついてしまうのだ。

それでもタブーを破って検索したのは、まさに悪魔に魅入られたからだろう。
ちなみに、同級生検索でも良かったのだが、野郎の今を知ったところで、面白くも何ともないのだ。

数十人分の名前を、1人づつスマホに入れていく。

・・・当たり前の話だけど、もう40歳は軽く越えてるから、みんな名字が変わっているし、同姓同名もいて、ヒットしない。

ところが!?

明らかに3名、まさに間違いない女性に当たったのである。

1人目は音楽家になっていた。
はっきり言って、そんなに才能がある人とは思わなかったけれど、私と別れて運が向いたのかもしれぬ。
その情熱が音を捕らえたのだろう。

2人目は医療関係のオピニオンリーダーになっている。
この人は人妻だったのだが、まあ過激な人であり、このまま進んだらかなり危険な二人になったのではないか?
何はともあれ、現在の状況は大変だろうけど、元気でいて欲しい。

そして3人目・・・。
この女性は、私の初代彼女にあたる人である。
そういった意味で、とても感謝しているけれど、こんな形で消息を知りたくはなかった!

『〇〇容疑者を逮捕』

今回の私の人生で、3人の女性とはもう会う事はないけれど、贈る言葉があるならば、『ありがとう、さようなら、いつまでも元気でね 』

時が戻る事はもうない。